2014/04/29

「ソフト&ウイット」








--- Model   T187cm   W 63kg   (size)









<解説>

こだわりは物事に対する価値を生むうえで絶対に必要な要素ではある。

「こだわる」そのもののメカニズムは脳の前部帯状回皮質という機関にあり、本来は主に現実の出来事と妄想や夢などの非現実を振り分けるいわば「検疫」のような仕事をしながらその概念を担っていると云われている。

しかし、強い思い込みによりそのメーターを振り切り、前部帯状回皮質が活発になり過ぎると妄想なのに現実レベルな鮮明さをもって記憶に上書きされる場合もある。例として「UFOにさらわれた」「トロルが悪さをした」「幽霊を見た」などがある。

しかしそれらに国や地域性が出るところが非常に怪しい。

前部帯状回皮質はもともとエマージェンシーの役割を担う器官がゆえに、こだわりを超えると強迫観念になってしまい、現実を超越してしまった危機感や被害妄想などのネガティブな情動に支配されてしまうという事らしい。こだわり過ぎたり頑張り過ぎると、自ずと涌き出てくるエネルギー。そのパワーを制御出来ないと誰と闘う理由がない筈なのに怒っていたり攻撃的な思考回路になってしまう。

こだわりが過ぎると洒落が通じない・・という事は「お洒落」というファッションの定義に相反する行為なのかも知れない。確かにこだわるほど縛りが生まれ応用もし難くもなる。

ファッションとこだわりの関係は何とも皮肉なものであると感じた我々は、こだわりを維持したまま前部帯状回皮質への血の巡りをほどほどにするにはどうすれば良いか考えた。

長きにわたる議論を経て、導き出されたその答えとは「洒落=ウイット」であった。

ウイットに富んだ違う視点からこだわりの硬い思考、感情から無駄な力を奪い緊張をほぐしてあげるのである。

ストイックになってしまっている時ほど自分に対してこだわっているのかまた他人の評価を意識したものなのか、何のために囚われているのかなど見失ってしまいがちだが、結局一番大切なのは「洋服を愉しむという事」という本来在るべき事を忘れないようにしたいと思うのである。
うんちくや希少価値、メディア露出や高価格に信頼を委ね共感するという事も一つ、また好きなものに理由はいらない。気楽に関わるのがファッションという考え方もある。そのどちらかに派閥を作るのではなく、どちらも上手に取り入れて行く方がクレバーである。

人生においても勝ち組か負け組かといえば、勝ち組でありたい人がほとんどなのかもしれないが、どちらでもない組でいつまでも平穏に暮らす方法を模索するという選択肢もある。

なんとなくフィーリングの合うものを購入し、いつしか「あれ、ここはこうなっていたんだ」という風に日々発見という鮮度が愛着に変わってゆく。それくらいに自然体で関わる姿が洋服を嗜むスタンスとしては健全かと考える。

私たちは洋服を作るうえで人に求められるこだわりをニュートラルに判断する目線を持っていたいと考えるのである。それがこだわりを制御し、ファッションを楽しむ方向へいざなう「ソフト&ウイット(SOFT&WIT)」

これにより肩の力を抜き方向性を見誤ることなく進んでゆく。これもまたGarageオリジナルを形作る概念の一つである。



 



 


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